軋み

軋んでいる

深爪の患部に塗る薬が切れた。薬が切れた頃にまた来てください、と言われたのを思い出したので、前回と同じ整形外科にもう一度行ってきた。処置室のベッドが目の高さくらいまで上げられる。目の高さの場所で座っていると不安を覚えるのは人間という生き物の性質なのか、俺の弱点故なのか。先生に写真を撮られて、処置をされて、それで終わりだった。「これは爪が伸びるのを待つか、手術をするかやからねえ」手術、語気が強かったのは俺の気のせいであって欲しい。手術はしたくないと前の診察では告げたのだが、もはやそんな場合では無いのだろうか。

診察を終えて、業務スーパーへ冷凍うどんを買い足しに行く。冷凍うどんだけが欲しくてやや離れた場所へわざわざ買い出しへ行くのもやや煩わしさを感じるが、食う物に妥協するのもそれはそれでしんどい生活が待っている。それで、うどんの他に何か買うべきものが無いかと商品で埋もれそうなほどの店内をうろうろとしているのだが、独居の人間が買うと後悔しそうな規模の物がほとんどだ。いやまあ、当たり前なのだが。ブリの切り身が2切で200円くらいだったのを見つけたときはかなり揺らいだが、結局買わなかった。代わり、というわけでは全くないが、ほろ酔いのメロンソーダ味があったので2本買った。この季節に見かけるのは珍しい。

レジでは前の客のおじさんが刻みネギ10袋くらいを買っていた。大人買い、というかまんま業者買いだ。業務スーパーなんだからメインの顧客層は俺みたいな輩ではなく、きっとこういう人なんだろう。他にも何か大量に買いたいものがあるらしく、レジのお姉さんになにやら話しかけていた。合計8000円超。それを大量の100円玉で支払っていた。数十枚がビニールで括られている。店でまとめているやつだ!とテンションが上がる。バラバラと包みが解けてあっという間に受け皿が100円玉で一杯になった。小学生の時にこの光景に出会っていたら、間違いなく人生最大級のショックだったろうな。うどんとほろ酔いをかごに入れた、俺の欲求がひどく小市民的に見える。