軋み

軋んでいる

カリウムの記憶

脚が攣った痛みで目が覚めた。右のふくらはぎから攣った時特有の締め付けるようでもあり刺すような感覚で起きたのが朝の5時半くらい。親指をぐっと反らして痛みを和らげようとしても、そもそもふくらはぎが痛すぎて足先に力が込められない。体のどこに力を入れればいいのか分からないまま、痛覚だけが鮮明になっていく。何しろ身動きが取れない、漏れるうめき声が叫び声に変わろうとしていた。人間はいろんなものが限界を超えると叫び声をあげるようにできているらしい。寝起きからかなり意識がはっきりとしてきたせいか、昔のことを思い出した。今と同じように脚を攣り、おそらくは叫び声を上げたときに親父が俺の脚を伸ばして、処置をしてくれた。当時も寝起きだったので記憶そのものが曖昧なのだが、美化されたままの記憶を信じて親父が助けに来てくれたということにしている。その記憶のおかげかは知らないが、脚を多少は動かせるようになったので膝を曲げて親指を反らせる。これをやっておけばひとまず痛みからは解放される。数日は痛みが残り続けるが。

かつて大学で、脚が攣らないようにと塩飴とトマトジュースを摂取している先輩がいた。味の感想を聞いてみたのだが「どっちもまずい」という納得のいく答えが返ってきた。トマトは大人になった今でも生で食うことができない。それを絞ったものの味は言うまでもないだろう。が、いつ測っても血圧が130を超えるのでそろそろ何とかしないと急に死ぬのではないか、と思い血圧を下げる方法をネットで検索したところ、トマトジュースに行きついた。今は毎日トマトジュースを一杯飲むようにしている、味はまだ慣れない。そういえば親父も健康を気にして一時期飲んでいたような覚えがある。トマトジュースに含まれるカリウムは、高血圧にも脚の攣りにも効果的とのことだ。ただまあ、こうして脚は攣ってしまったので、せめて高血圧の方は何とかなって欲しいのだが……