軋み

軋んでいる

また年末の話をする - 歯の検査を受けてきた

もう1月も下旬が見えてきているが、また年末の話をしよう。帰省の新幹線の数時間前、予約した歯医者で歯の検査を受けてきた(前回)。検査の内容は唾液、顎の力、色んな角度からのレントゲン、顔の写真、歯の型、顎の形の測定。ずいぶんとこねくり回されてしまった。

歯の型は冷たくて柔らかいゴムみたいなものを当てて取るのだが、この時目をタオルで隠されるので、ひどく不安を覚えた(以前まで通っていた俺の人生唯一の歯医者では目隠しなんてしなかった)。先生の手が口元から離れるとより不安が増す。もともとの体質なのか、口をずっと開いているだけで嘔吐きが止まらない。「もうちょっとで終わりますからね~」と声をかけられて、そのあと大体2分くらいゴムを口内で保持し続けていた。その間、ずっと嘔吐き続けていた。

顔の写真も外科的な用途のために普通に撮ったかと思えば歯茎を思いっきり露出したり、口をポカンと開けたりと歯科的な内容のものも多かった。プラスチックの開口具で口を思いっきり横に開いた写真も撮った。ひんやりしていてかつ柔らかくて、触れていると心地良さすら覚えるほどだが、確かな力で顔の状態を一定に保つあの開口具の素材が気になる。もし文明が滅んでこの写真だけが残ったとしたら、開口具で口内を見せつけるのが旧文明のファッションだったという認識になるのだろうか。そんなことを考えながらシャッターの音を聞いていた。

色んな角度から撮るレントゲンが一番つらかった。口の中にフィルムを、色んな位置にセットした上で器具を当てて撮影するのだが、この時もやはり何度も嘔吐く羽目になった。フィルムを入れる位置によっては舌を思いっきり上げたり下げたり、左右に寄せる必要がある。下の移動に合わせて嘔吐きゲージがぐんぐん上昇していく。また先生に「もうすぐ終わりますからね」となだめられた。俺ももういい年なのに、この言葉があるだけで安心する。お医者さんってすごい。

かくして辛かった検査が終わった。あとは実家に帰って、正月休みを満喫するだけ、というところになった。休み明けには結果が出るということだったが、まさか歯茎の膿が歯根ではなく、歯の真下にあるせいで永久歯を1本抜かなければならない、と告げられて卒倒寸前まで落ち込むことになるとはこの時は予想もしていなかった。