軋み

軋んでいる

肉持参での謝罪について

午後半休を取った。肉を食いたくなったのでブロンコビリーまで行ってきた。初めて行く場所で、工事現場を迂回したあたりで道に迷い、自転車で15分の距離を30分弱かけていく羽目になった。いつまでたっても方向音痴のままだ。

道を進みつ引き返しつ、ようやく店内に入ると待ち行列ができていた。平日の昼間から、ステーキを食いたがる人がこんなにいると思っていなかった。スマホをいじっているお兄さんに並んでます?と聞いてみるとそうだと言われる。続いてお兄さんにあれに名前書いてください、と言われたので順番待ち用紙(正式名称不明)に「サトウ 1名」と書いて、待つ。このご時世に結構な長さの行列だった。電子書籍を入れたタブレットを持って来ればよかった。最近買ったのに。

俺より後に入った客が俺より先に呼ばれていた。中学生くらいのスマホ首の少年だったのでよく覚えていた。あのー、と言ってそれとなく挙手をしてみると「名前を書いてお待ちくださいね」と言って店員が慌ただしく店の奥に入っていく。別の店員を捕まえて1名のサトウが呼ばれたか聞いてみた。用紙を確認すると、前の客の箇所からはみ出たチェックマークが、俺のところまで届いていた。それを見ると「申し訳ございません」と言われてすぐに通してくれた。柔軟に対応してくれるんだなあ、とぼんやりした頭で考えていた。

その後はメニューを渡される時も、お冷を持ってくるときも、スープを持ってくるときもひとしきり謝られた。マニュアル的にもそうなのだろう。しかし、メインディッシュあるステーキを運んでくる際にも「申し訳ございませんでした」と謝罪されたので、俺はこれが面白くて仕方がなかった。調理済みの肉を渡されて、その上で謝られると何でも許せそうな気がしてしまう。謝罪の方法として最強だなあ、と。ケジメの際に指を詰めたりする必要は無い、グレードの高い肉を焼いて持って来ればそれで良かったのだ。皿をテーブルに置いた直後の謝罪だったので、タイミング的に謝罪の方がメインに見えてしまうところもポイントが高かった。こちらが和風のソースで、こちら岩塩になります。その後にまた「申し訳ございませんでした」が来た。最強だ。

肉が食える、ということで終始にこやかでいたつもりだが、最後まで謝り通されてしまった。客もその場では笑顔でも後で食べログ等で星1評価を下す、という話を聞いたことがあるので、それの対策なのかもしれない。自分のビジュアルもまあ、わざわざ星1を付けにいくタイプかそうでないかで世の人間を二分すれば、付けにいくタイプの方だという自覚もある。もしかしたら、こうして日記をつけている時点でダメなのかもしれん。ごめんなさい。また食べに行くので。