軋み

軋んでいる

パッチンを探しに

家に2つしかなかった食品袋をパッチンして止めるやつ(正式名称不明)を買い足すためにホームセンターへ行った。自分の理想の生活を送ろうとするとあれが5個くらい必要になる気がする。もうすでに冷凍食品で2つをフルで使ってしまっている。

キッチン用品、風呂用品、レジャー、リフォーム、DIY、ペット用品など多くのコーナーがあったが、とりあえずキッチン用品のコーナーをぶらぶらしていた。最近買い替えたばかりの包丁とか、フライパンについつい目が行く。調味料入れもキッチンのスペースがあれば欲しいな、と目移りしてしまう。トングとかもあれば便利かな、なんてうろうろしながら考えるが肝心のパッチンが見当たらない。他のコーナーにあるのはちょっと考えにくいが、自分で探し回るのが面倒なので店員さんに聞いてみる。

「食品の袋とかをあの、パッチンするやつってどこかあります?」

正式名称が分からないので、パッチンというワードを出さざる得なかった。30代も見えてきた人間がオノマトペを出すのも少し気恥ずかしかったが、他に選択肢が無かった。店員さんは中年の女性だったが、パッチン?ああ、あれねという感じで迷い無くキッチン用品コーナーに案内してくれた。数分は探してくれたが、少し前に俺が探した個所と全く同じ部分を探して、かの有名なセリフをもじった「ここに無ければ無いですね」を言われて終了した。

実家にはパッチンが10個くらいあったのだが、大阪に来てからパッチンを特定の店でしか見かけていない。名古屋の特産品などではあるまいし、ただの不幸の連続だろう…とおもむろにAmazonの検索窓に「パッチン」と打ってみる。ヒットした内でそれっぽいのはウェーロック社の「クリップイット」だった。おそらくは商品名で、数あるパッチンの中の1つ。少しスクロールしてみると、「食品袋クリップおすすめ10選」が出てきた。これがパッチンの正式名称、ということでいいのだろうか。この単語でググってみるとバラつきはあったが、おおむねこのカテゴリは食品とクリップの2つのワードで構成されている。

ただまあ、あの店員さんとの場面で「食品袋用クリップってどこです?」と聞くつもりはあんまり湧いてこない。「パッチン」以上にこの商品のニュアンスを伝えられるイメージが無い。正しい名称を出したところで、それがきちんと理解されるというわけではないからなあ。バカボンのパパとか、巨人時代のサブローとか、そういうものはこの世にいくらでもある。