軋み

軋んでいる

毛刈りの窓

下の毛を剃った。デリケートゾーンの毛が生えてきたのは小学校高学年くらいだった気がする。それからアラサーの今までかれこれ十数年、明確な目的をもってその部位の毛を剃ったことは無かった。毛に引き算を適用したことが無かった。

一人暮らしが始まると状況が一変した。1Kの家のどこを見ても大体縮れた毛が落ちている。クイックルをかけたその日のうちに毛が散らばるのが急に許せなくなってきた。立地のせいかじめじめとした暑さが強いせいもあって、いよいよ「陰毛 処理」と検索をかけたのが8月の末のことだった。そして実行に移したのが昨日。「毛を剃る」の季語はおそらく夏なので、タイミングを若干逃したかもしれない。それはまあいい。それなりに高めのトリマーを買ったおかげか脇と鼠径部、皮膚の弱い箇所に刃を当ててもあまり痛まなかった。小林製薬髪の毛集めてポイにキャッチされた毛の山のことはあまり思い出したくない。

「剃ると残った毛がチクチクして痛い」という話はなかなか有名らしく、毛の処理の話になるとほぼ毎回聞いていた。確かに痛い。脚を組んだり、フィットネスボクシングをしたりするとよくわかる。脇と鼠径部にちょっとした痒みの延長線上のような痛みがある。しかしまあ、弊害と言えば今のところはそれくらいだ。トイレに行くたびに、慣れない清涼感に思わず笑みをこぼしてしまっている。毛が生えてくるまではこちらの状態の方が自然だったという事実がおかしくて仕方がない。スースーとした違和感を感じながら、かなり前にツイッターでフォローしていた人が自分と同じように下の毛を剃り、その感想として「ツルツルの金玉はグッズで欲しい」とつぶやいていたことを思い出した。そういった感想は残念ながら抱けなかった。