軋み

軋んでいる

タブレットという実弾の話

電子書籍リーダーとしてタブレットを購入した。本を置くスペースがひとえに無いが故だ。物理の本(という言い方をするとなんだかむずむずするが)は買えば買うだけ1Kの家の限られたスペースを圧迫するので、そろそろ潮時かなと思ってヨドバシカメラへ向かった。すっかり積んでしまった仮想通貨の本が埃をかぶっているが、こういったことに悩まされることも無くなるということだ。

タブレットのコーナーでうろうろしていると店員に声をかけられた。電子書籍リーダーとしての使用は今のところ考えていない、iPadは高そうなので嫌、などの要件を伝えると2,3万くらいの価格帯のタブレットのところに案内された。そこは今まで俺がうろうろしていた場所だったが、まあいい。Lenovo社製の製品だけはやめて欲しいと伝えると、ほぼ2択か3択程度まで絞られた。Lenovoには3年ほど前、ノートパソコンのWi-fiハードウェアが故障した際に雑な対応をされて以降、世話にならないと決めている。結局買ったのは冒頭のリンクに似ているVANKYOの3GB, ストレージが64GBのmatrix pad。品名を上げたのはいいがVANKYOというメーカーのことは聞いたことが無かった。一応IT業界で働いている身なのでもう少し勉強した方がいいのかもしれない。

実際に買ってみると、なるほど万能感があった。嵩張る本の数千~数万のページをこの数インチの中にしまっておけて、いつでも見たくなったら取り出せるというのは、頭では分かっていても感動に足るものがあった。本の形状や印字の微妙な差異という制限も無くなって、読むのにかかる時間も短縮された気がする。こんな良いものを何故令和3年まで放置していたのか分からない。最初に買ったkindle電子書籍は「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」。去年あたりに見た動画で紹介されていたので、読んでみたいと思っていたが、スペースの都合上買わなかった。一人称視点で、淡々とだが着実に話が進んでいってくれるので非常に読みやすかった。あの時読まなかった本をこうして追っていけるというのはありがたい。

ポピュラーハイライトなる機能によって、いろんな人が読む上でマーカーを付けた個所に点線を引かれているのだが、「砂糖菓子」をただ読む上でこれは邪魔だった。小説ではなくビジネス書などでは有効なのだろうが、「ココ!」と指摘されているようで何だか後ろから見られているような気分になる。簡単にオフにできるものなのでこの不都合は物の数分で解決はしたが、後半に進むにつれて、ハイライトが付いている個所を探りながら読む、という性格の悪い読み方を発明し、ポピュラーハイライトをオンオフを切り替えながらページをめくっていた。最後のページでハイライトをオンにしたら、想定通りほとんどの字句に横線が引かれていた。恐らくここはテストに出る。