軋み

軋んでいる

栓を抜け、そして缶を切れ

家からそれなりに近い場所にカルディがあるのを知らなかった。地下鉄一駅と徒歩数分なので移動だけでかかる時間は30分弱くらいか。店内で酒やツマミに先んじて唐揚げ粉など調味料が目に入るようになっていて、いよいよ一人上手感が強くなってきたなと思う。とはいえ唐揚げ粉だけで会計を済ませるのは寂しいので、適当にその辺に並んでいたジンジャーエールとアップルサイダーを手に取った。こういう普段飲まないもの(いつもはほうじ茶しか飲んでいない)もカートに入れたくなってしまうような店の空気は好きだ。ジンジャーエールの方は蓋が王冠タイプのもので、家に栓抜きなども用意していなかったが別に蓋程度など何とでもなるだろうとLINE Payでレジを済ませた。帰りの駅のホームで、暑さのせいで瓶詰の炭酸が爆発してしまわないかと、蓋の問題よりもそちらの方を気にしていたが完全なる杞憂だった。アップルサイダーはその日の夜のうちに飲んでしまって、開封方法のないジンジャーエールは冷蔵庫に残されることになった。

一人暮らしに最適!が売り文句の冷蔵庫を都合数万で購入したため、冷蔵庫室内の体積は自然と問題になってきて、縦に長い形状を持つ瓶を早めに消費したくなるのはある種必然だった。結局冷蔵庫で冷やしつつ何とかなると思い込みながらも栓抜きを持っていない問題から目をそらし続けたのはたったの1日。硬い王冠と分厚いウィルキンソンの瓶を前にしてもまだ「行けるやろ~w」と高を括り、トポロジー的に栓抜きと一致している物体、具体的にはガムテープとピーラーは試した。ガムテープはそもそも王冠に全く引っかかる気配がせず、ピーラーはすこしだけ先端にかかったような気がしたのだが少し力をこめると外れ、勢い余った王冠で手をそこそこに深く切る羽目になった。流れる血を拭き絆創膏を貼り終えたときにはすでに冷静になっていて、次にやったことはAmazonの検索欄に「栓抜き 缶切り」と文字を打ち込むことだった。冷蔵庫でもそうだったが物体はスペースを圧迫する。瓶詰めのジュースを買う機会が今後あるのか分からないので、栓抜きを家に置くことがすでにリスクだと判断した結果がこの手の深い傷なのでおとなしくモノを導入することにした。せめて多機能版にして省スペースを図りたかった、その一つとして缶切り機能を追加。キャンプ用品や十徳ナイフなども一応候補に挙がったのだがそれはやりすぎな気がした。翌朝には栓抜き兼缶切りが大量のチラシの中にねじ込まれていた。開封して即、栓抜き部分を蓋にあてがってやや力をこめるといとも容易く蓋が取れた。大体440円くらい。まだ缶切り部分は使っていない。使う予定もない。栓抜き部分も同じく。お買い得になるかどうかは俺次第。